
「はじめてのシューズ」代表は、
第4期でNAHAマラソンを走り、
初フル完走を成し遂げた大長愛さん。
「でも、最近まったく走ってないんですよー」という申告により、
初心者代表としてシューズを選ぶことになりました。
大長さん(左)と柴田さん(右)。アドバイスを聞く姿は、いつになく真剣です。
●初心者には安定性と衝撃吸収機能が大事
島田佳久さん(以下、島田) さて、今はどんな感じの練習をしていますか?
大長愛さん(以下、大長) 実は、昨年の10月から走っていないんですよ。
島田 あれ? そうなんだ。
大長 はい。今日も「今、履いているシューズも持ってきて」と、編集部から連絡があったんですけど、シューズすら見つからなくて(笑)。
島田 困ったヤツだなあ(笑)。
大長 でも、今年の12月にホノルルマラソンを走りたいので、また今からちょっと練習を始めようかなっていう感じです。ウォーキングから始める位の気持ちで考えていて。
島田 「走っていない」に等しいのね。
大長 はい。
島田 そういう練習をちょっとお休みしてしまった人や、これから走り始める人のシューズは、安定性や衝撃を吸収してくれることが大事なんですよ。弱い筋力を補ってくれるもの。車で考えるとわかりやすいんだけれど、速い人が履くシューズをレーシングカーだとしよう。免許を取ったばかりの人が、いきなりレーシングカーは操作できないでしょ?
大長 はい。
●着地の衝撃は体重の3倍!
島田 以前走っていたときの感覚で、レース用のシューズを突然履いてしまうと、膝やふくらはぎや腰にきちゃうの。
大長 腰にも?
島田 うん、腰も来るよ。ランニングの衝撃は、例えば僕は体重が60kgなんだけど、片足で着地したときに、3倍=180kgの負荷がかかるのね。その180kgの負荷を、長時間まわしていくのがマラソンなんだよね。だから、足をシューズで守ることが必要。練習を休んでいる人には、筋力がないからレーシングカーのような靴はオススメできない。
大長 はい(苦笑)。
島田 ちゃんと足を守ってくれて、なおかつ衝撃吸収がよくて、筋力を補ってくれる構造がついている、そんなシューズが大事。これは、初心者だから、というのじゃなくて、練習をしばらく休んでいて再開する大長さんにも同じことが言えるよね。歩くことから始めて、基礎体力をもういちどつけ直して、それからレーシングカー、つまりはレース用のシューズに戻っていくのが良いでしょう。安定性のあるシューズは「ゴツイ」という印象があるかもしれないけど、それだけ筋力のなさとか、衝撃を吸収することをしてくれるんだ。

底が厚くて、ゲルがたくさん入ってることが、素人の目でもわかりますね。
●ファッションと機能の両立は永遠の悩みです
大長 ……あの、ピンクのシューズもありますか?
島田 あはは、あるよ。女性は色も大切だよね(笑)。うん、そういう選び方でいいと思いますよ。
大長 気に入ったら、ランニングシューズを普段履きにしてもいいんですか?
島田 うん、いいですよ。今日、大長さんはヒールのある靴を履いているでしょう? これはファッションだから仕方のないことだよね。でもやっぱりこんなに角度があると、当然足には良くはない。
大長 あはは、そうですよね(笑)。
島田 それは履いている本人がわかるよね?
大長 たしかに疲れます。
島田 衝撃を吸収するものもないし、足の角度も違う。通常の人間の体勢としてはあり得ないカタチですから、疲れると思います。それに気をつけて欲しいのは、外反母趾だよね。足の先が細いから、親指がどんどん中に入ってくる。これが外反母趾の原因なの。
大長 ああ、パンプスを履くとなりますね。
島田 足先が窮屈だと、足底筋が緊張したままの状態でかたくなってしまうんですよ。足の立場になると「指がつかえない」「アーチができない」「足首の角度も変わっちゃう」っていう風に、いいことはないのね。ランニングシューズと、この靴の角度の差を見てよ。ランニングシューズは平行なのに、こちらはジャンプ台みたい。
大長 ジャンプ台(笑)。

左が「ジャンプ台」の大長さん私物サンダル。右がランニングシューズ。
島田 でも、女の子のファッションだから絶対ダメとは言えない。ただ、こうしたことを理解した上で履いたほうがいいよ。スニーカーを普段履きにできない職場なら、革靴でも指先が細いのではなくスクエアになっているものを選ぶといいね。指先を常に使えているような靴を選ぶと、障害が起きづらい。
大長 じゃあ、偏平足とかで悩んでいる女性は普段履きを見直すといいのかもしれませんね。
島田 そうだよ。扁平足や外反母趾のほとんどの原因は、普段履きですよ。そういうのでだいぶ変わってくるんじゃないかな。
●初心者こそ専門店で店員に相談してほしい
大長 走りはじめるときって、どんなシューズを履いていいかもわからないし、相談できる相手もいないけど、こうした専門店に来るレベルじゃないかなあ、という不安もあるんですよね。
島田 シューズを選ぶとき、初心者はまだなにもわからない状態だし、信頼できるランニング専門店で相談をして、選んでもらうのが一番なんですよ。そしてある程度練習して、自分が走れるようになってきて、目標タイムができてきたら、そこからはもう自己責任になるの。ショップの人が「これがいいですよ」と言っても、自分の好きなシューズを選んでもいいし、ショップの人が薦めるシューズを選んでもいいけど、自己責任(笑)。初心者の人はどんどん相談してください。
(第2回につづく)
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シューズのプロによる丁寧なカウンセリングによって、
ふたりのレベルや好みが見えてきたところで、
次回は「3次元足型計測器」という最新機器を体験!
自分の足のデータを細かく計測できるから、
ジャストフィットのサイズが選べるんです。
さらに
「アシックスのシューズが良いといわれる理由」
「シューズはどう履き分ける?」
「シューズってどう洗えばいいの?」
などなど、疑問や悩みも卒業生のふたりが解決します。
次回の更新をお楽しみに!
「はやくなるシューズ」代表は、
第5期でかすみがうらマラソンを走り、
3時間30分切りを成し遂げた柴田和則さん。
「やっぱりサブスリーを狙いたいっすよ」という申告により、
サブスリー目標代表としてシューズを選ぶことになりました。
本日のアドバイザー島田さんは、トライアスロンにも挑戦するアスリート!
●寿命の過ぎたシューズは故障のもと!
島田佳久さん(以下、島田) さて、柴田さんはどうですか?
柴田和則さん(以下、柴田) 僕は今日、自分のシューズを持ってきているので、見てもらえますか? まずこれが、モニター時代に提供いただいて使っていたシューズです。ボロボロなんですけど。毎日履いていたし、長距離練習も、スピード練習も、レースもこのシューズを履いていました。
島田 はい。 このシューズを見て言えることは、もう寿命が過ぎちゃっている。このシューズで走るとどういうことが起きるか説明するね。

奥が柴田さんが履き古したシューズ。シューズの寿命は底でわかります。
島田 正常な靴は重心がまっすぐになっているんですが、癖がついちゃっている。そして、外側も内側も削れていますから、ミッドソールの機能がもう無くなっているんですね。衝撃が足にモロに来はじめているの。ソールのすべてに言えることですが、ココを見て(=写真で指を差しているところ)。白いミッドソールが出てきたら、もう寿命なんですよ。スピード練習をすると、この削れる割合が多くなるから寿命も短くなります。
柴田 スピード練習と長距離練習は、違うシューズを履いたほうがよいということですか?
島田 そんなことはないよ。「スピード練習をするとシューズの寿命が短くなる」というだけで、強くなるためにはスピード練習はやったほうがいいし、練習の目的でシューズを履き分ける必要もない。シューズの履き分けについては、次回以降で詳しくお話しますね。
柴田 はい。
島田 柴田さんのシューズの削れ方はいいですよ。真ん中で着地して蹴れていることも、外側から着地して蹴れていることもわかる。悪くない削れかた。クセがある人はもっと外側だけ削れていたり、変なところが削れちゃってる。削れかたから見る限り、重心の軌跡はいい。ただ、ここまで削れていると、やはり「お役ごめん」のシューズだね。履き慣れたシューズは、だんだんとアッパーがなじんできて、走りやすくはなると思う。でも、衝撃吸収という面では、このシューズは初期性能の半分もない。もうお役ごめんにしないと逆に足を痛めてしまう。寿命の目安は、この本来黒いはずの部分が白い部分まで削れてきちゃってたら「終わりましたよ」っていう判断だね。
柴田 履き続けてクッション性がなくなると、ダメージってそんなに受けるものでしょうか?
島田 うーん、まあ 1000km 位は大丈夫ですよ。ただ同じシューズで、履き古したものと新品のものを履き比べたら、同じものとは思えないよ。全然へたり感とか接地感が違う。だからレースのときには、同じシューズでも新しいものを履くっていうのは手だよね。
●フラットソールとスプリングソール
柴田 この後、違うシューズも履いたのですが、自分はそんなにシビアな選手でもないので、履き心地という点ではそんなに変わらなく思えるんです。
島田 うん、あまりこだわり過ぎずに、自分の感覚を大切にして欲しいんだけど、本来は、走法などによっても違うの。着地しやすいのはフラットソールのほうが着地しやすい。重心がベッタリとちゃんと着いて、地面を押せるから。ただ、バネがあるうちはスプリングソールが効くのね。着いて跳ねるという動作が行なわれるから。
柴田 フラットソールとスプリングソールですね?

スプリングソール。大きく言えば、アーチ部分の2本線がスプリング。
フラットソール。足全体でベッタリ着地する感じがありますね。
島田 若くてバネのあるうちは、そんなに不都合を感じないなら、スプリングソールのほうがいいよ。ただ、年をとってバネがなくなってくると、逆に「スプリングソールがつらい」という人もいる。ベタ足で着地してそのまま行ったほうがラクなんだよね。スプリングソールとフラットソールの違いは、履き比べていくうちに、結構感じると思いますよ。柴田さんは若いし筋力があるから、スプリングソールで大丈夫だと思う。ただ、ボーンと弾くから、最初のうちはいいんだけど、後半 30km 過ぎとかにペタンペタンと音がし出したら、それはもうバネがついていってないってことなの。スプリングソールのシューズを履いて、足がペタンペタン、ペタンペタンとしているのは、筋肉が耐えられなくなっている証拠なのね。
柴田 はい。
島田 柴田さんは、今何歳ですか?
柴田 28 歳になりました。
島田 若いなあ。靴を履かなくてもいい位だ。あはは、そうはいかないか(笑)。本当に自分の感覚で、スプリングの方がスピードが出ると感じるかどうかだな。
柴田 あと「シューズは軽いほうが良い」と聞きますが、これ以上底を薄くしすぎると、膝に負担がかかり過ぎて故障してしまうのではないか、という恐怖感があるんです。
島田 今柴田さんが使っているシューズならサブスリーも全然ねらえますよ。必要以上に薄くすることもないよ。
柴田 そうですか。
島田 うん、 2 時間 45 分でも全然問題ナシ。それ以上はね、個人の好みなんですよ。同じ 3 時間を切る人でも、クッション性があるものが好きな人と、ダイレクトな感じが好きな人といますから。その辺になってくると接地感の好みだね。
(第2回につづく)
※アシックスストア東京で島田さんにご対応いただけるとは限りませんのでご注意ください