走り込みができていないと意味がない
コンディショニングは、人によって違うから「こうやりなさい」と言えるものじゃない、というお話を前回しましたね。種目でも違うけど、体重がオーバーしている人、やせている人でも違う。コンディショニングは奥が深いんだ。でも、同じような練習をしていても、最終的に差がつくのも、実はそのコンディショニングなの。だから、一生懸命にいろいろ考えて試してみる価値はありますよ。
ただし、練習ができてない人には意味がないんですよ。フルマラソンで5時間以上の完走を目指している人は、2週間前から少し練習量を落としてジョギングやウォーキングをしながら疲労を取る、という考え方でいいと思います。サブ4やサブ3を狙っているランナーは、まず3週間前までに内容のいい練習をしっかりこなすことが大前提だ。いい練習をしていないと、どうしたって30kmで脚がまいってしまうからね。
コンディショニングの成功例
では、コンディショニングによってどれだけ変わるのか。
最近では、こんな例がありました。東京国際マラソンとつくばマラソンとの2週連続で自己新記録を出したランナーの話を以前(=第8回)したのを覚えているかな? 実は、それまでのフルマラソンのレースでは「残り10km位は疲れてバタバタになってしまう」と悩んでいたの。いい練習はできていたんだけどね。
そこで、いつも3日前にやっていた数kmのスピード練習を変更して、10マイル走で最後の5km位を全力でいく、長い距離で負荷をかける調整にした。そうしたら、最後まで脚がもって自己新記録。これは、実は有森と同じようなコンディショニングだったんですよ。それまでは、高橋と似たようなコンディショニングだったの。
ね、おもしろいでしょう? しっかり練習が出来ている人なら、最後のコンディショニングで大きく変わるの。
だからマラソンは難しいし、おもしろいんだよ
Qちゃんが「世界記録をどうしてもつくりたい、つくれないわけがない」と挑戦したときは、朝練習を1ヵ月くらい前から軽くしていった。ただし、それまで砂利道で走っていたのを、舗装道路に変えました。ボウルダーでは舗装道は遠かったので、車で10km先まで移動して、そこで負荷がかかるようにして走っていたの。次のときも試合1ヵ月前になると、「監督、朝練習は砂利じゃダメでしょ。舗装道へ行くでしょ?」って聞いてきた。
Qちゃんはそういうところが賢いんだよね。試合と同じように筋肉を舗装道路で慣らしておく、という目的をちゃんと理解していたんだ。「練習量を落とす」と言っても、走る道ひとつ変えるだけで、違った練習になる。自分の目的に合わせて、いろんな練習を試してみるといいよ。
よくね、マラソンの試合が終わった次の日に調子がいい人もいるの。それは、1日ずらして調整をやってあげたらいいの。そういうこと。誰もが勝てる練習があるわけではない。人によって違うから、工夫をして自分に合った調整法を『探す』ことが必要なんだ。だからマラソンは難しいし、おもしろいんだよ。
次回更新は1月21日(金)の予定です。
第13回テーマは「レース中のトラブル対策」。
走り始めたら思ったより気温が高かった!
給水をしたらお腹が痛くなってしまった!
レース中に起こりがちなトラブル対策を、小出監督が教えます 。
お楽しみに!
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