小出道場 虎の巻

初心者の方からサブ3ランナーまで役に立つ小出監督のノウハウを順次お届けします。

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第18回 「本番のペースを設定する」

2005年3月4日 更新

『ペース配分』は事前に計算しておく― 前半は余裕のあるペースで走ろう

この春のマラソン大会で、初フルマラソン(=42.195km)に挑戦する人も多いよね。だから今回は「本番当日はどのくらいのペースで走ればいいのか」を、そして次回は「そのペースで走るための練習」についてお話ししますよ。

初めてフルマラソンに挑戦すると、前半のペースが速すぎて30km地点からトボトボと歩き始める…なんていう失敗をするランナーが多い。大会当日は、周りの雰囲気に流されて、自分が思っている以上に速いペースでスタートしてしまう。途中で時計を見れば気づくけど、そうした意識がないとオーバーペースのまま走り続けて、10kmあたりから腿が疲れ始めて、30km過ぎたら膝が痛くなって、歩くしかなくなってしまうんだ。

だからね、『ペース配分』は大切なんです。初心者でもベテランでも、前半はゆっくりトコトコ行くことが鉄則。初めからバネを使って飛ばしていると、どんなにトレーニングしている人でも30kmしかもたない。トコトコと走り始めること。「行けるところまで行ってやろう」は、10kmやハーフマラソンならなんとかなるかもしれないけれど、フルマラソンの距離では通用しません。

 

10kmやハーフマラソンのベストタイムと目標タイムを1kmあたりに換算してみる

では、『トコトコ走る』ペースがどのくらいなのか? まずは、自分の10kmやハーフマラソンの記録や、走ったことがある人の過去のフルマラソンの記録、そして今回走るレースの目標タイムを1kmあたりのタイムに換算して並べてみること。わかりやすいように、ランニングモニター第2期生の田原さんを例に挙げて説明しようね。

 

■田原顕子さんはどのくらいのペースで本番を走ればいい?
  タイム 1kmに換算すると…?
10kmベスト
67分09秒
2005年2月20日青梅マラソン
約6分45秒/km
ハーフマラソンベスト 2時間28分44秒
2005年1月9日谷川真理ハーフマラソン
約7分5秒/km
フルマラソン目標

6時間以内

7時間以内

約8分30秒/km

約9分50秒/km

 

10kmのベストが67分の田原さん。フルマラソンも6分45秒/kmのペースで走り続けたら、10kmで力尽きてしまうのはわかるね? 7分/kmペースで走り続けたら、ハーフ地点で終わってしまう。一方、田原さんの今回の目標は「荒川市民マラソン完走」。荒川市民マラソンの制限時間(=制限時間を超えると『失格』となり、タイムが計測されなかったり、収容車に乗せられたりします)は7時間ですが、田原さん本人は『出来ることなら6時間以内で完走したい』とおっしゃっていました。だから6時間以内と7時間以内の両方のタイムを挙げています。

一般的に、10分/kmのペースは『速歩き』のペースと言われている。だから、ペース配分さえ間違えなければ、7時間は決して難しい目標ではないですよ。特に、荒川市民マラソンは河川敷を走るので、コースも平坦ですからね。

 

後半のペースダウンを最低限に抑えるペースを設定する

こうして田原さんのタイムと目標を並べて考えると、本番のハーフ地点を過ぎるまでは8分/kmペースの設定で余裕をもってトコトコ走るといいかな。8分/kmのイーブンペース(=同じペース)で最後まで走り続けると、ゴールは約5時間37分30秒。

本当はね、前半ゆっくりで後半のペースを上げるのが理想です。けれど、どんなに余裕をもって走っていたって、初フルマラソンは必ずペースダウンをしてしまう。でも、ペースの落ち込みを最低限に抑えるように、さらに実力を出し切れるようにペースを設定することが大切なの。

ランニングモニター第1期生の加藤昇さんは、初フルマラソンのホノルルマラソンで『歩かずに完走』(4時間26分)できました。加藤さんと初めてお会いしたとき、私は「35km以降、少し歩いてしまうだろう」と思っていたの。でも『歩かない』でゴールできたのは、もちろん練習も頑張ったんだけど、ペース配分もよかったんだよね。

辛かったら、途中で立ち止まるのはいいよ。給水所で水分補給をしながら、その場で軽く屈伸運動をするといい。そしたらまた、走れるようになるから。
実際には、田原さんが8分/kmで走ろうと思っても、きっと周囲に煽られて速く入ってしまうと思うし、きっちりペース通りには走れないでしょう。それでも少しずつ修正しながら、7分30秒〜8分/kmでハーフ地点まで行ってみるといいと思うよ。

 

ランナーズ・ハイになっても、こらえてイーブンペースで

もうひとつ、フルマラソンを走るときに気をつけなくてはならないのが『ランナーズ・ハイ』の状態。5km、10km地点のあたりで、体が温まって気持ちよく走れるようになるの。スピードをあげたくなるだろうけど、そこは我慢する。そこでペースをあげてしまうと、後半にしっぺ返しがくるからね。せめてハーフ地点まではトコトコと様子をみよう。30km過ぎてまだ余裕があるようだったら、少しペースをあげてもいいですよ。

設定したペースは、腕に油性マジックで書いておくと忘れなくていいね。また、大会によっては1km毎に距離表示がない大会もあるから気をつけよう。初マラソンのときは、可能な限り細かく距離が表示してある大会を選ぶといい。申し込む前に事務局に電話をして問い合わせれば、教えてくれるはずですよ。

 

※本番当日の食事時間などは「虎の巻 第5回『大会当日に気をつけること』」参照

 

 

次回更新は3月11日(金)の予定です。

第19回テーマは「設定ペースで走るための練習」

『本番のペースが決まったのはいいけれど、
その通りに走れないから困ってしまうんですよ…』
本番で設定通りに走るための練習を、小出監督が教えます。
お楽しみに!

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