設定どおりのペースで走ることができますか?
設定したペースで走りつづけるために必要なものは、「ペース感覚」と「スタミナ」です。長く走り続けている人は「自分が今、どのくらいのペースで走っているのか」が感覚的にわかるはずです。トップ選手の中には、常に1kmあたり1秒以内の誤差で走れるランナーもいます。「1kmを3分40秒で走る」設定であれば「3分39秒〜41秒」で走って来ることができるのです。経験を積んだランナーは、そういう点が優れています。
でも、走り始めて間もない人には難しいでしょう。マラソン2週間前の週末を控えた田原さん(=ランニングモニター第2期生・田原顕子さん)に、僕は「土曜日/5kmTT(=タイムトライアル※どれだけ速く走れるか、タイムを計測しながら全力で走ってみる)×2本」「日曜日/15〜25kmビルドアップ走」のメニューを作成しました。10kmのタイムが67分と聞いたので、土曜日の5kmTTのラップタイムは「6分30〜40秒/km」の範囲内でおさめることを目標にしました。すでにその練習は終えられていますが、やはり一定のペースでは走れなかったそうです。でもそれは仕方がないことです。走り初めてまだ数ヵ月なのですから。
5kmや10kmのタイムトライアルはがむしゃらに走るだけでなくペースを覚える
タイムトライアルの練習では、トコトコ走りではなく、できる限り良いタイムが出るように走ります。そのときにがむしゃらに走るのではなく、「ペースがバラつきが出ないように走ってみよう」と意識してみることが第一歩。自分の目標タイム(10kmや5kmのベスト記録から算出)を決めて、そのタイムを出すのにどのくらいのペースで走ったらいいのかを計算しておくこと。
スタートしたら、一定のペースで走ることを心がける。最初の1kmは時計を見てチェックして修正して、あとは時計を押すけれどあえて見ないで走ってみるのもいいよ。常に時計に頼っていてはいつまでたってもペース感覚が身につかないからね。時計よりも自分の感覚を頼りに『一定ペース』で走ってみる。走り終わった後に時計でラップタイムをチェックして、自分の感覚と実際のタイムを照らし合わせて次回の練習に活かす。こうした積み重ねでペース感覚を磨いていくこと。
これは数日の練習でどうにかなるものでもないので、普段の練習から自分が走っているペースを意識していこう。
ビルドアップ走で、後半にペースをあげるためのスタミナをつける
ビルドアップ走とは、徐々にスピードアップして走る練習のことです。フルマラソン前の走り込みの期間は、20〜30kmのビルドアップ走を入れるといいでしょう。「後半にペースをあげる」練習になります。フルマラソンを走るとなると、「後半にペースが落ちてフラフラになる」イメージが当たり前のように思えるかもしれませんが、きちんと練習で走り込んでおけば、最後までもつスタミナがつくのです。また、ハーフを過ぎたあたりからフラフラになってしまうのは、明らかにオーバーペースです。
ビルドアップ走は、最初はトコトコ走り(ジョギングペース)からスタートして、徐々にスピードをあげて、最後は5kmや10kmレースを走る際のペースで終わるのが理想です。田原さんを例にすると、8分/kmペースで走り始めてラストは6分45秒/kmになれば理想です。このときに「ゆっくり走る感覚」と「速く走る感覚」の違いをよく覚えておきましょう。
慣れてきたら、やはり走っている間は時計を見ないで後から振り返るような練習もすると良いと思います。スピードを上げたつもりなのに実際は遅くなっていた、ということも有り得る話です。
また、ビルドアップ走は「前半を我慢する」練習にもなります。大会当日は周りの雰囲気に煽られて実力以上に速いペースで入ってしまうもの。「前半を抑える」ことも、初めてのレースではなかなかできません。前半を我慢すれば後半持ちこたえることができる、と体で実感しておくことも大切な練習です。前半から中距離走のように脚のバネを使ってとばしてしまったら、必ずハーフ地点で脚が止まってしまうでしょう。それはどんなに鍛えられた選手でも同じことです。「前半を抑えて後半をあげる」―よく聞くことですが、頭で覚えておくだけでなく、実際に自分がやったらどんなペースなのかを、体で覚えておくことが大切なのです。
ペース走で実戦のペースを体で覚える
他に、ペース走といって、一定のペースで長距離を走る練習もあります。田原さんの場合は、フルマラソン当日のペースとして設定した8分/kmで10〜15kmを走ります。これで、自分のレースペースをしっかりと体に覚えこませましょう。
次回更新 第20回テーマ「補強運動としての筋トレ」
走りに行く時間がないから、毎日筋トレしていますがいいですか?
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筋トレの是非を、小出監督が教えます。
お楽しみに!
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